残業しない職場づくりについて

働き方改革が推進されていても未だ当たり前に残業をしている職場の人材はいないでしょうか。同じ働き方を数十年続けているとなかなか抜け出せなくなります。職場で仕事は終わったことにして、自宅で残業している「隠れ残業」の人材はいませんか?

隠れ残業とは・・業務内で仕事が終わらず致し方なく自宅に仕事を持ち帰り仕事をする事ですが、普段からこのような事態が慢性化している場合、人材は職場で声をあげずらいのではないでしょうか。

会社に出勤して残業をしている場合は他の人材の目にも止まりやすく残業していることが分かりやすいと思いますが、在宅ワークや出張先で仕事を一人でしている場合は知らないうちに長時間労働ということになりかねません。その場合は企業にも残業を内緒にしている可能性もあり、企業側も残業代を未払いになってしまう可能性もあるのではないでしょうか。

オン・オフの切り替えが難しい、在宅ワークでは常にオンライン状態の人材も多いかと思います。

特に隠れ残業の状況を見て見ぬふりをし、人材を評価する職場は、組織が腐っていくと考えています。隠れ残業を含めた残業そのものは個人の判断でどうにもできない場合がほとんどだからです。残業しない場合の残した仕事は当然のように翌日以降に持ち越される場合が多いですよね。

又、勤務当初は定時であがれていた職場が5分、10分、15分、30分と早まるどころか、遅くなっていく。これらの事象は、人材側自身が仕事が終わらないのは自己責任論、「自分の能力不足」であると考える場合もありますが、そうではなく会社の甘えです。通常は仕事は覚えれば早く仕事をこなしていけるはずですが、改善されず残業続きであればそれは「問題アリ」なのです。

経営者層も上司の考えも、あの人材なら多少は・・と何処かでそう思っているというのが本音ではないでしょうか。しかし、散り積もった残業疲労は人材に悪影響を及ぼします。

個人の責任感や周囲の状況をみて、残業をする判断を個人に判断させる状況にさせているのであれば、後に必ず不満はでてきますし、その職場からは「ロールモデルも誕生しづらい」のです。

一部の仕事好きなハードワーカーの働き方以外を除いて今一度、残業の慢性化に陥る理由と人材が負う可能性のあるリスクを一緒に考えてみたいと思います。

~残業理由を考える~

「残業をする会社」と「残業をしない会社」の違いは、経営者層や上司の考え方や方針にあります。

まず、残業が多い会社としない会社の違い、それは仕事に対する責任の持ち方の違いになります。仕事に対する責任と人材の健康や安全を守る責任が対等であると考えた場合、残業をしない方が良いという判断が出来ます。又、今回は残業でのリスクを記載しますが、それらを重要視しない経営方針であれば残業はこれからも続くのだと思います。

残業が多い会社の場合、現状のやり方に固執し業務遂行しようとする、新しいやり方やノウハウを見つけようとしない、優良な顧客や取引先を新規開拓しない等があります。いわゆる変化のない企業体質です。

残業が多い職場は効果的なやり方を見つける時間も無い、新しいことに挑戦できる柔軟な職場環境ではない事態に陥っているケースが多くみられます。

改善する為に幾つかの方法を考えてみましょう。

~まずは人材の能力にあわせた仕事内容や業務量、時間の使い方を考える~

人材の時間の使い方は勿論の事、その部署内の業務内容の見直し、役割の見直しを十分に行う必要があります。

残業が多い会社は、やらなくていい事=無駄な作業がある、サービスや品質(値段相応かどうかを総合的に考える)、成果に結びつかない業務は早めに切ることを行えていません。ずっと同じやり方ではダメなのです。

簡単に言うと「無駄な業務を捨てる、やり方を変えない」ができない為、仕事量において残業が必要になってきます。残業が多い会社ほど、付加価値創造をするには程遠くて現状で精一杯なんてことはないでしょうか。

~すぐに経営者層がやるべきことは残業をしない方針を社内に浸透させる事、必要があれば取引先にも周知徹底する~

サービス残業はさせないの徹底、ノー残業dayの為、職場で仕事ができないから結局自宅に持ち帰る・・・なんてことはノー残業dayを実施する意味がありません。

残業が無く、業務が円滑に進められれば、早く仕事が終わります。早く終われば、次の仕事にも余裕を持って取り組めるわけですから通常はポジティブな話ではないでしょうか。

人材の可処分時間が増えることにより、新しい事に挑戦する機会が増えます。社外からは効率の良い働き方が出来ているという前向きな評価も受けられます。

毎日10分でも、30分でも残業していた時間が日々無くすことで、人材が求める充実した時間に置き換えてもらう事は次の日の仕事へのモチベーションにも繋がります。

早く仕事を終わらせる理由がなければそのまま生活残業を続けた方が良いという考え方をする人材もいるかもしれません。生活残業をさせない為にも給与を上げる事は必須です。物価やエネルギーコストも高騰する昨今ですが、給与のUPは人材の疲労回復にもこれは必要な条件になります。

~DX推進できない理由にもなっている~

残業が多い職場はそれが会社の文化や習慣となっている→職場は人が定着しづらい職場である為、DX推進までは手をつけられないのではないでしょうか。

残業慢性化の職場の人材の場合、ただでさえ仕事が終わるのが遅いのに、新しい事を取り入れるのは面倒だ・・現状維持以上の負担は負いたくない・・等の理由で業務軽減の為のシステム等でさえ拒む声がでてきます。

これは職場でデジタル弱者予備群を増やす要因にもなります。

本来であれば職場というリアルな場で体験できる効果的なシステム・ツール技術の導入さえも残業慢性化の職場の人材にとってはただ邪魔な余計な仕事が増えるだけの存在なだけなのです。

その為、DX推進を促進させる為にも、まずは本気で残業を無くしていくところから始めなければ、職場の負担は増えるばかりです。

経営者層が「本気で残業をさせない」としないかぎり、ダラダラと効率の悪い無駄な残業が増えていきます。

上司が残業社員を評価優遇するような環境も、その組織内でしか通用しません。残業させる事が当たり前の思考をやめましょう。

残業すら無くせない職場は、普段の時間の使い方にも余裕がない為、DXも推進しづらくなります。本来はDX推進をして残業を無くす・・このような目的のはずが実際のところは順番が逆でないと難しい職場もあります。残業を無くしてからDX推進をする・・というのがブラック企業体質の職場や人手不足の職場は考え方を逆の発想にした方が良いのです。

では長時間労働で長期的ストレスを人材に抱えさせない取り組みについてやるべきこと

すぐに経営者層や上司がやるべきこととは・・

「コンピテンシーの重要性を理解することです。」

業務遂行する為に必要なスキル・知力・能力・資質、特性をもった人材を育成することです。短期間で上記が遂行できれば残業をする必要が大幅に減ります。

場合によっては、採用等の初期段階でトライアルプロジェクトを積極的に行う必要もでてきます。トライアルプロジェクトとは実際の業務環境で適性やスキルをテストする事を意味しています。

①人材の業務内容・業務量・スケジュール調整・やり方、業務全体の見直しが必須です。

具体的な項目としては下記になります。

・仕事の効率化と自動化を検討してみる 

無駄を省く少し雑な言い方ですが、捨てる業務を考えてみる事も必要です。非効率な事をどうしてもやる必要があるのなら外部に任せる等の検討も必要です。業務の最適化をすることをまずは第一優先で考えてみましょう。

・ブロックスケジュールにする事:適切なブロック時間を設定しタスクに集中できるようにする

・必要があれば外注できる人材を増やす

・実力・能力が足りないのなら積極的に学ぶ機会を与える

・ポロモードテクニックを取り入れる:作業と休憩を交互に繰り返し、集中力を高める時間管理を取り入れる

②能力やポテンシャルを見極める役割と実務との調整(徹底した適材適所の導入)

人材が持つ現状のスキルや能力を最大化する為のゴールを考えて業務遂行していくことを考えましょう。個人のポテンシャルは組織の目標達成にも繋がります。

「ぬるま湯につかったカエル」らが職場にいる場合、ポテンシャルある人材は育ちにくくなります。一部の人材にとって長く居心地が良い職場というものは、時に新しい人材にとって成長のデメリットになるのではないでしょうか。人材のポテンシャルが最大限に発揮できるサポートや支援を行う為の計画を立てましょう。

③スケジュール管理をする

残業が多い職場は、スケジュール管理や調整が上手く出来ていないことはないでしょうか。納期などタイトなスケジュールで職場が疲弊していることはないですか。取引先の言いなり、交渉が上手くいかない場合等に起こりえることかもしれません。

日々、残業をしなければならないのなら、割にあっていない業務自体を思い切って捨てる覚悟も時には必要です。切り捨てれば、残業が多くて・・という愚痴は少なからずゼロにすることが可能です。

コスト面の転嫁等が起こる場合にも注意が必要です。この言葉ご存じの方も多いかもしれませんが、資本主義の原理原則「誰かの黒字は誰かの赤字」なのです。

スケジュール管理が出来ていないことでイレギュラーばかり発生することを避けなければ、コスト増大は否めません。時間コスト・費用コスト・コミュニケーションコスト等々です。

短期的には上手く業務をこなせたとしても、長期的化すればいずれはそれが当たり前になって人材が働きづらくなります。

上司だけは先に帰宅、他の人材は皆残業という職場の場合は、上司は最初は会社の規定に沿い部下が帰りづらいだろうからと定時で上がることにした職場も多いとあるかと思いますが、部下が毎日長時間、仕事が終わらず毎日残業に明け暮れているような場合、それはただの上司の職場放棄として客観的にはとらえられます。

もし部下たちが一斉に上司と一緒に定時で帰宅してもいいのなら上司はこのように言ってください。

「皆さん本日は定時できっちり上がってください。仕事が終わっていない場合は全て私が責任をとりますので大丈夫です」と言って帰っていきましょう。そうすれば安心して皆帰る事ができます。

職場の残業問題の改善が進まない原因が改善しようとしない上司という職場はないでしょうか。そもそもNO残業の意識が上司に無ければ、職場改善そのものが難しくなります。

次に、残業をしなければならない職場の人材側へのリスクです。

健康を損なうリスク

前日の帰宅が遅いと睡眠時間の確保が短くなり、体力の回復は万全ではなくなります。そのようなことが毎日続けばさらにリスクは増えていきます。ストレス増加、うつ病に繋がり最終的には自殺や過労死を招いてしまう可能性も出てきます。そうならないためにも企業側は残業の管理(残業は何時間までと決めるなど)も必要になるのではないでしょうか。

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長時間労働・慢性的なストレスはバーンアウト症候群になる可能性もでてきます。身体・感情・精神的疲労の蓄積により感情的なエネルギーやリソースの枯渇もあげられます。その場合、だんだんと脱人間化してしまうことがあります。例えば他の人や状況に対する冷淡さや無関心になるというようなことを指しますが、これは結果的に同僚や顧客に対する共感性が低下することになります。良い職場づくりが可能でしょうか。

結果的に上記のような悪循環を生みパワハラ等も同時に生み出す要因の1つです。

バーンアウト症候群の最終系は自己評価の低下につながります。残業が多い会社では、仕事の達成感や成功感が得づらくなります。また疲労からのミスやトラブル発生により、周囲の人材もフォロー、トラブル処理とイレギュラーな業務が増えて疲弊していきます。

帰宅時間が遅いと事故に巻き込まれるリスク

公共交通機関などを利用しない場合、深夜になるとひったくり等の事故に巻き込まれるリスクも上がります。深夜の女性の一人歩きも危険です。防犯面でも対策が必要です。防犯ブザーの提供、タクシー通勤の強化が必要です。

お風呂の中で寝るリスク

残業の日頃の疲れから、疲れを取る為の入浴等する人も、お風呂の中で寝てしまい一歩間違えば死を招くリスクがあります。飲酒してそのままお風呂などもやめましょう。

④ゴミ部屋や汚れた部屋に住むリスク

部屋に捨てられないゴミが溜まっている、汚れた部屋に住んでいる人は残業が多い、不規則な生活が多いと言われています。不衛生な環境により虫が飛んでいる、室内の掃除をする暇さえなく埃や汚れが溜まると病気になるリスクがあります。

社会的孤独になるリスク

数十年、毎日会社で残業続き、帰宅は終電ギリギリ、それでも将来の目標を持って前向きに仕事に取り組んでいたとしても、人材が会社の中でのコミュニティだけになり、残業ばかりで、家族や友人と疎遠になっていないでしょうか。定時に上がり、自分時間を充実させることで得られる事は沢山あります。

社会から置いていかれるリスク

残業は会社の為、仕事していれば大丈夫。本当にそうでしょうか?残業が慢性化している場合、人材の将来的に一番必要な情報が得られる時間や場から遠ざけるような事になっていませんか?

歳を重ねる程、何を知っていて、何を知らないかだけで、有意義な老後が待っています。自分にとって本当に大切な情報というものは会社に居るだけでは得られずらくないでしょうか。

業務中に事故やミスが多発するリスク

運送業、配達等々、運転しなければならない人材や工事現場などで重機を扱う職種の人材は、車の運転、重機の運転など事故と隣り合わせの仕事になります。営業や事務的なお仕事でもケアレスミスが多発、トラブルの増加にみまわれることにもなります。ミスやトラブルはクレームにもなりやすく対処が遅れるとそれもまた損害になります。

個人のいつものルーティンが無くなっていくリスク

良い習慣をもつ人材の場合、残業によりそのルーティンが崩れていく可能性があります。逆を言えば、日々個人のルーティンを確立していくことで生活の乱れを自分で把握するということが出来るようになります。

その他、例えばネットで何かを購入し配送業者さんが宅配BOXに入れてもらった場合、届いた当日に受け取れる荷物でさえ、今日は疲れたから、明日でいいか・・等という日々が1日、1日と延びていく・・何てことはないでしょうか。宅配BOXに取りに出向くことさえ億劫になるのは、疲れ過ぎていることを意味しています。これは業界を超えての問題につながりますね。

優しさに気づかないリスク

慢性疲労により疲れが溜まると、他人の気遣いや優しさに気づく事が難しくなるのではないでしょうか。他人の事まで思いやれない・・余裕がないは、職場の雰囲気も悪くなります。何かしてもらった時の感謝の言葉やねぎらい等は精神的にも心のゆとりを持つことが必要です。特に上司という人の上に立つ人材であればあるほど、「相手に理解されることを求めるよりも相手を理解するように努める事」が大切です。

働きやすい職場づくりには、人材の可処分時間の増大は不可欠です。長時間の残業しなくても済むように、まずは、勤怠管理システム等で残業状況をしっかり把握してみましょう。

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