謝罪スキルの向上が組織にもたらす価値とは?
人材は誰でもミスをしますし、失敗もします。起きてしまったトラブルは仕方ないものです。そう解釈して一度自分の中で出来事を落とし込んで次に進める人材や組織とそうではない組織とでは人材の働きやすさも変わってくるのではないでしょうか。
職場で昇進をするにつれて部下が増える、業務拡大で取引先や関係者が増えてくるとよりこの謝れる人材は貴重になってきます。
皆さんは下記①~⑦のどの人材に当てはまりますか?又はどの段階まで対応できるでしょうか。対象は顧客様(エンドユーザー)に対してとして考えてみましょう。
① 自分のミスや失敗に対して謝れる人材
② 上記の①+同僚のミスや失敗に対しても謝れる人材
③ 上記①+②+同じ組織の上司や部下のミスや失敗に対しても謝れる人材
④ 上記①+②+③+自分がお勤めの会社のミスや失敗になら謝れる人材
⑤ 上記①+②+③+④+自分が勤める会社のGroup会社までなら謝れる人材
⑥ 上記①+②+③+④+⑤その業務に関わる取引先や関係者のミスや失敗に対しても謝れる人材
⑦ 上記+①+②+③+④+⑤+⑥直接関係の無い第三者のミスや失敗に対しても謝れる人材
特に⑦は少しわかりずらい表現になりましたが、例えば、同じ立場や役職・同じ業界・同じ経験値等である場合を指します。
①~⑦について全て出来る人材は管理職には向いていると思います。最初の①が出来ないのであればそこからSTEPを踏んでいく方が良いです。
リーダーや昇進に必要なスキル,能力の1つとして、ミスや失敗をした場合、謝ることが素直に出来る人材を抜擢するのも組織運営においては大事になります。
自分がどこまでなら対応できるのかなんてじっくり考えてみたことも無かったな・・という人材も多いのではないでしょうか。
ですが、仮に謝ることが苦手な人材が上司になり、クレームやトラブルから避ける逃げるような人材であれば、当たり前に部下は不幸になりますしクレームやトラブルの根本も解決されず周囲は徐々に疲弊することにもなります。
一時的な責任から逃れることが出来たとしても、本当の意味で解決しなければ又同じ問題は起こるのです。
当事者であったとしても他人事であると解釈しながら謝罪をしていた場合も同じミスや失敗が起こります。
更にパワハラやいじめ等も初歩的な要因は「謝ることが出来ない」というような人材から起こりえるのではないでしょうか。
プライベートでは謝ることが出来ても職場では苦手で避けてしまうようであれば、その要因を自分なりに考えてみる必要がりあります。
友人にならミスや失敗も謝る事が出来ますか?
プライベートで仲の良い先輩や後輩にならミスや失敗も謝る事が出来ますか?
家族や身内にならミスや失敗も謝る事が出来ますか?
仮にご近所の人にならミスや失敗も謝る事が出来ますか?
特定の人にならミスや失敗も謝ることが出来ますか?
上記のようなプライベートで当てはめると具体的にどこからどこまで出来るの線引きが可能になるのではないでしょうか。
プライベートでは何かミスやトラブル等があった時には素直に謝る事が出来ても、職場では何故か出来ない…となると何がそうさせているのか…を考えてみます。
職場では謝れない人材を人間性の問題で済ますことはできないはずです。
何故なら先ほどのパワハラやいじめ等に繋がる要因となる可能性が非常に高いからです。
パワハラやいじめになれば時すでに遅しです。
話は戻りますがミスや失敗が立て続けに起こり続ける場合は、そもそもの改善策を立てられていない為、謝ること自体を避けたりその場だけしのぐようになったりと億劫になるのではないでしょうか。
例えば、何度も同じ事象が同じ顧客にある場合、謝っても怒りが収まらない、改善が難しい状態の場合は、謝罪に加えてその先の心理的負担が人材に残ります
言い方は悪いですが、部下に謝らせて終わり!謝らせておけば良いと考えるだけでは何の問題も解決されるはずもありません。
これが企業のトップに近ければ近いほど問題解決も本来であれば早いものです。
基本的には謝る事と改善されることは顧客としてはセットと考えられています。
顧客サイドは叱咤をすることが可能であったとしても改善策は企業側で考えるのが当たり前です。
しっかり改善していくにはではどのような方法があるか一緒に考えてみましょう。
【 解決策の考え方の1つ】
ミスや失敗が起こった場合、結果的にその事象に対して今回は「痛み」と置き換えてみます。
そのミスや失敗に誰が痛みを感じているのか?をじっくり考えてみる事が必要になります。
今回は心理面、コスト面、精神面、評価面、等々のあらゆる事項を人間のカラダの痛みに具体的に置き換えてみてください。
そして痛みを抱えたまま目の前で1日中過ごしていると想像してみます。
恐らく実際に目の前で痛みで苦しんでいる、痛がって叫んでいたり、痛がって泣いていたり、痛がって倒れている人を見過ごせる人もいるのかもしれませんが、ほとんどの場合は、見ず知らずであっても駆け寄る対応をするのではないでしょうか。必要であれば周囲も警察や救急車呼びますよね。
実際には声に出さない、目には見えずらい「痛み」であれば人は見て見ぬふりをしたり、全て他人事だと考えて対処しないで放置という状態かもしれません。
そもそも実際にミスや問題を認識できていなければ、「痛み」の対策方法に割く時間もないはずですね。
続けば続くほど、誰かがその痛みを背負ってくれているということになります。
人材が負うのか、顧客が負うのか、第三者が負うのか・・その痛みは一人が負うのか、複数の人材が負うのか人数もミスや失敗の事象によって異なります。
【解決策その2】
ご存じの方も多いと思いますが、ヒヤリハットの法則に付随します。
「ヒヤリハットの法則」は、職場や仕事の現場において、安全に関する異常や危険な状態に気付くことができる法則です。この法則は、ヒヤリハットと呼ばれる、何かが危ないと感じる予兆や兆候を注意深く感じ取ることができる人が、事故やトラブル・ミスを未然に防ぐことができるという考え方に基づいています。
ヒヤリハットは、具体的な危険を感じる前段階であり、直感的な警告や異変に対する感覚です。これは、従業員が日常業務中に感じる様々な異変や不審な動きに対して注意を払い、事故やトラブルを未然に防ぐために大切な手段とされています。
ヒヤリハットの法則では、これらの小さな兆候や異変に適切に対処し、問題の解決策を見つけることが重要視されています。特に、小さな問題が積み重なることで大きなトラブルや事故につながる可能性があるため、早期に気づき、対処することが求められます。
ヒヤリハットの法則は、予兆や異変に注意を払い、それを積極的に報告し、組織全体で共有し、改善策を講じることで安全な職場環境を築くことができます。
本来なら、トラブルや問題に対して、事前予測や分析も兼ねて業務にあたることが最善になります。 しかし、未然に防ぐ事が出来なかった場合…。
そのような場合は、問題が起こった部署や業務は一度立ちどまって考え対策をする事が必要になりますね。
【解決策 その2】
何かしらのペナルティを与えるという策を取る企業も沢山あるかもしれませんが、実際問題ペナルティは罰のようなものであり、解決方法ではありませんし、取引停止も場合によっては独占禁止法違反ではないでしょうか。
その為、解決策として優先順位を見直す事をお勧めします。優先順位が間違っていたゆえにミスや失敗、トラブルは起こります。
ペナルティ期間が仮にあったとしても経済活動や営業活動を支援できるような取り組みもセットの方が効果的です。
~最後に~
自分のミスや失敗でなくても、謝らねばならない立ち位置の人材は本当に企業にとっても顧客にとっても貴重な役割を果たす重要な立ち位置になります。
近年、通常のクレームとはかけ離れた度が過ぎたカスハラ等で悩む人材や企業も増えてきていると言われています。
クレーム対応の場合、謝罪対応の役割を担う「感情労働」に務める人材は謝罪スキルが上がるメリットはあると思います。
しかし、問題が解決され続けなければ、顧客から見た場合謝り慣れてしまっている=同じような問題が度々あると想定されることにも繋がります。同じ顧客から何度も何度もクレームが上がる場合も同じです。
人材にとっては不本意であっても顧客からはそう感じるのも致し方ない事なのかもしれません。 謝罪と解決策はセットです。
カスハラにかぎっていえば怒りの矛先を転換しなければ人材はうつ病で病んでしまったり時には死に至るケースもありますから 感情労働を職とする人材がデメリットを被る事がないようにしなければなりません。
ミスや失敗が起きた業務や部署の当事者が改善出来るサポートや支援を積極的に行う事が先ずは大切になります。ペナルティを与え続けて結果的に改善されないのであれば、そのやり方が違う、心理的安全性が保たれていないまま事が進んでも人材にとってはそれも負荷がかかる状態な為、避けなければなりませんね。